外科

当科の特色

当院外科は現在2名の外科・消化器外科専門医にて日常診療を行っております。主に胃・大腸悪性疾患、胆石症、鼠径ヘルニア、虫垂炎などの消化器・一般外科を中心に行っており、これらの多くは腹腔鏡下手術にて施行しております。また中難度以上の手術時には、舞鶴医療センターに手術支援をいただき、十分な体制のもとで手術が行える環境を整えております。なお2020年4月より舞鶴で唯一の内視鏡外科学会技術認定医が在籍し、すべての手術治療に携わっておりますので、引き続き安全でより専門性の高い治療体制を提供してまいります

外来担当医表

午前1診玉井担当医担当医担当医
(乳腺内分泌外来)
藤原
2診越智
専門外来
(予約)
(ストーマ外来)
専任看護師
受付時間
 
午前:8時~11時30分
診察開始時間
 
午前:8時45分~

  • 金曜の乳腺内分泌外来は完全予約制です。
  • ストーマ外来:初回は外科外来を受診し予約(電話予約不可)

代診のご案内

  • 令和6年11月29日(金)

越智医師が不在のため、玉井医師が診察いたします。

休診のご案内

  • 令和6年12月11日(水)

担当医師が不在のため、休診いたします。


  • 令和6年12月17日(火)

担当医師が不在のため、休診いたします。

手術実績・件数

手術内容件数(括弧内は腹腔鏡手術件数)
2018年度(平成30年度)2019年度(令和元年度)
胃悪性腫瘍13(10)11(9)
結腸・直腸悪性腫瘍25(22)19(16)
胆嚢疾患26(26)19(16)
肝・膵臓疾患4(0)2(0)
鼠径部ヘルニア27(21)36(28)
虫垂炎10(10)8(8)
その他31(8)31(9)

腹腔鏡下手術とは

従来の胃や大腸の開腹手術では、おおよそ20cm程度の皮膚切開をおき、傷を拡げて臓器を直接目で見て、手で触りながら手術を行っていました。これに対して腹腔鏡下手術では、皮膚を大きく切らずに、5~10mm程度の穴を5~6ヶ所開けます。(開ける穴の数や場所は病気の種類や場所によって変わります)
次にその穴にポートと呼ばれる筒状の器具を挿入し、ポートから二酸化炭素を送り込んでお腹の中を膨らませて観察します。
各ポートからはお腹の中を映し出すための腹腔鏡や、臓器を把持するための鉗子や切離するための電気メスなどを挿入し、術者は画像モニターを見ながら手術操作を行います。
【図1】日本臨床外科学会ホームページより引用

腹腔鏡下手術のメリットとデメリット

メリット
傷が小さく、術後の疼痛が少ない
入院期間の短縮や、早期の社会復帰が可能
拡大視効果で正確な手術ができる
術後の腹腔内癒着が少なく、腸閉塞になりにくい
デメリット
手術時間が長い(開腹手術と比べて)
手術材料等の経費が高い
比較的高度な技術を要する
腹腔鏡手術に特有の合併症がある(空気塞栓など)

当院で施行している腹腔鏡下手術

当院では、胆石症、鼠径ヘルニアをはじめとした良性疾患や、胃がん、大腸がんなどの悪性疾患に対して腹腔鏡下手術を施行しています。また、虫垂炎や腸閉塞、胃・十二指腸潰瘍穿孔による腹膜炎などの緊急手術に対しても、可能な限り腹腔鏡下での低侵襲手術を行うようにしています。
以上のように、現在一般的に行なわれている腹腔鏡下外科手術については、概ね当院にて対応可能となっています。
次に比較的最近に当院で導入した腹腔鏡下手術である腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術および腹腔鏡・内視鏡合同手術についてご紹介したいと思います。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術について

成人鼠径ヘルニアは俗称で「脱腸」とも呼ばれ、日常的に多くみられる疾患です。成人鼠径ヘルニアの主な原因は、加齢によって腹壁を構成している筋肉や筋膜が衰えることで、それらの間にすき間が生じるためと考えられています。治療法としては、ゆるんでできたすき間(ヘルニア門)をメッシュと呼ばれる人工補強材で覆う方法が現在の主流となっています。また再発を防ぐためには、現在できているすき間とともに、将来的に弱くなりがちな部位も含めてなるべく広範囲をメッシュで確実に覆うことが重要とされます。そのためには、腹腔鏡を用いた視野で手術をおこなうことが非常に有用です。
現在当院では成人鼠径ヘルニアのほぼ全例に腹腔鏡下手術をおこなっていますが、その手術には2通りの方法があります。少々専門的な話になりますが、それらは各々TAPP法、TEP法と呼ばれており、前者は腹腔内からヘルニア門にアプローチし、後者は腹壁の中(腹膜外)からヘルニア門にアプローチするという点が異なっています。【図2】
一般的にはいずれか1つの方法ですべてのヘルニア症例に対応する施設が多いと思われますが、当院では個々のヘルニアの形や大きさなどの条件に応じて、2通りの方法からより適した方法を選択して手術を行っています。

内科・外科の合同手術(LECS)について

腹腔鏡を用いた新しい治療法として、腹腔鏡・内視鏡合同手術(Laparoscopy Endoscopy Cooperative Surgery: LECS)が注目されています。この手術の良い適応となるのが、胃粘膜の下にできる腫瘍(胃粘膜下腫瘍)です。粘膜下腫瘍には良性から悪性のものがありますが、最も多いのは消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor: GIST)という悪性腫瘍です。これに対して一般的に行われている手術は腹腔鏡下胃局所(部分)切除ですが、腹腔鏡で胃の外側から観察すると同時に、胃内視鏡で胃の中から腫瘍を観察することによって、必要最小限の切除が可能となります。また、それによって胃の変形が少なくなり、胃の機能温存も可能となる優れた術式です。
現在、当院では熟練した内視鏡医とわれわれ外科医との合同手術であるLECSを積極的に導入しております。【図3】

LECSについて

具体的には、外科医が腹腔鏡下に胃の外側からの観察をおこないながら、同時に内視鏡医が胃内視鏡を用いて胃内の腫瘍を観察します。さらに内視鏡医は内視鏡的な腫瘍切除の技術を用いて最小限の切除範囲を見定めたのち、胃の内側からの切除を開始します。その後、外科医は胃の外側から補助を行うことで、正確かつ最小限の範囲での腫瘍切除が完了します。【図4】
最後に、外科医が胃壁の欠損部を適切な方法にて縫合閉鎖して手術が完了します。
腹腔鏡下手術は、いまや特殊な術式ではなく、ほとんどの市中病院にて施行可能なほどに一般化しております。われわれ外科医が実感している患者さまへのメリットは大きく、傷が小さいことによる整容性や痛みの少なさに始まり、腸管麻痺が少ないことで術後の経過が非常にスムーズとなり、入院期間の短縮がはかれています。
当院ではメリットが大きいと考えられる場合には積極的に腹腔鏡下手術を選択しておりますので、手術が必要とされた際には、ぜひ一度ご相談いただきたいと思います。

専門外来のご紹介

乳腺内分泌外来

乳がんは現在、1年間に4万人にのぼる女性が乳がんと診断されるほど増加傾向にあります。
乳がんは早期に発見できれば、適切な治療により、ほぼ完全に治すことも可能です。また、進行していても、患者さまの病状に合わせたさまざまな有効な治療手段があります。
当院では毎週金曜日、綾部市立病院乳腺外科から藤原郁也(ふじわらいくや)
先生の担当により乳腺疾患の診断治療を行っております。
左右の乳房の形に変化がある、乳房にしこりがある、乳首から分泌物があるなどの症状がある方は当院乳腺専門外来へお問い合わせください。

外科系の専門医制度と連携したデータベース事業への参加について

この事業は「一般社団法人 National Clinical Database (略称NCD)」により、

  1. 外科関連の専門医のあり方を考えるための共通基盤の構築
  2. 医療水準の把握と改善に向けた取り組みの支援
  3. 患者さまに最善の医療を提供するための政策提言
  4. 領域の垣根を越えた学会間の連携

を目指して行われるものです。

この事業により、診療の特徴や課題を明らかにすることで、診療科、施設単位に加えて地域レベル、全国レベルでの医療の水準を明らかにし、比較することができるようになります。
また、その情報を利用することにより、よりよい専門医制度のあり方を検証するための基礎資料ともなるものです。